もし『「九成宮醴泉銘」ものまね王座決定戦』が開かれたのなら。その1

法帖・石碑

子どもの頃に見たテレビ番組を想い出すことはありませんか?

私はその一つに「ものまね王座決定戦」という番組があります。

出演される芸能人の中で私が一番好きだったのは清水アキラさんです。

歌は上手いし、似ているし、面白いし、変幻自在だし、もう言うことありません。

この方のものまねは後世に残る「芸術」だと思います。

さて、書道の練習方法は「臨書」が重要だと言われます。

これは「先人が残した文字を真似して、その筆法を学びなさい。」という教えです。

九成宮醴泉銘 一部分

欧陽詢(おうようじゅん、557年 – 641年)によって書かれた楷書の名品「九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんのめい)」です。

白黒表記になっているのは石碑に刻まれたものを「拓本」にしているからです。簡単に言えば10円玉の上に紙を置き鉛筆で擦った時に文字が写るデコボコのやつです。鉛筆で擦る方式は乾式ですが、画像の九成宮醴泉銘の拓本は文字をより鮮明に採集するために墨液をタンポでポンポンと押しあてて染める方式の湿式です。

書道は先生からお手本をもらい、それを真似をすることが一般的な学習方法かと思います。

では、その書道の先生のお手本はどこにあるのでしょう。

そうです。先生のお手本は、この「九成宮醴泉銘」なのです。

これは楷書のお手本ですが、他にも書道を練習する上で学ぶべき古典(先人が残した色々な作品群)がたくさんあります。

この九成宮醴泉銘に目を向けると、とにかく均整のとれた凄味ある文字に見えるのではないでしょうか。

「ま。いっかな。ちょっと失敗したけど。」といったような緩んだ点画が一つもなく、置くべきところに必ず次の一手が置かれているという感じを受けます。

揮毫者である欧陽詢の神経質で完璧主義者具合がうかがえます。

また、中国の約1500年前の文字ですが、「漢字」として現代の我々が使用しているものと同じことに驚きませんか?

長い年月「上手!!」と言われ続け使われてきたのです。

この「上手!!」を自分の技術として取り入れたく多くの書人が臨書してきました。

さあ『「九成宮醴泉銘」ものまね王座決定戦』のはじまりです。

その2に続く。

genpopo

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